- 2025-4-30
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- トランプ関税交渉カードに米国産のコメ輸入拡大案
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高止まりするコメ価格が日本人の食卓を苦しめている。供給不足が叫ばれるなか、政府内では米国産のコメの輸入を拡大する案が浮上してきた。流通する量が増えれば価格が安くなるはずだが、農林水産省はこれに強く反対する。主食として保護されてきた「国産米」を今後も守るべきと訴えるのだが、その主張は本当に正しいのか──。【前後編の後編】 【画像】どっさりと山積みの米袋が… 中国人向けSNSでやりとりされる「“日本の米”転売の投稿」
■前編記事:【トランプ輸入米】米国産コメ輸入拡大は「関税交渉カード」と「国内コメ不足解消」になる一石二鳥プランか それでも輸入米の拡大を阻止したい農水省の思惑
農家の高齢化が進むなかでどうやって稲作を守るのか
米国産米の輸入拡大は長期的には国益を損ねるという阻止派の主張に対して、農業経営学が専門の大泉一貫・宮城大学名誉教授は真っ向から反論する。 「関税をなくして競争に晒されないと、日本の稲作は崩壊するのではないかと危惧しています。 農水省は関税で守り、生産調整でコメの価格を高止まりさせ、補助金をばら撒けば日本のコメはこの先も安泰だろうと考えている。零細農家を保護することが、国産米を守ることにつながるという理屈です。
しかし、現実を全く見ていない。現在、稲作農家は55万戸ですが、政府の支援があっても毎年5万戸がやめている。零細農家のほとんどが兼業農家であり高齢者で、このままではどんどんコメ作りをやめていく流れは変わりません」 実際、佐賀県の70代後半の農家はため息交じりにこう話す。 「小規模な農家は、コメがいくら高騰しても固定費や設備費の負担のほうが大きく儲からない。時給換算したら最低賃金を下回るけんね。地区にある50軒くらいの農家で60歳以下は3人だけ。若い人はやりたがらんよ」 農家の高齢化が進むなかで、稲作をどうやって守ろうというのか。農水省に聞くと、「稲作は機械化が進んでいるので、他の農業、畜産などと比べると、体力的には高齢者でも担っていけるものです。そうした一つ一つの産地の現状を見て、どうやればいいかということを考えて進めています」
外圧を利用したほうが安定供給に繋がる可能性
あくまで現状維持の延長線上でやっていく考えのようだが、むしろ強権的なトランプ氏の“外圧”に応じて輸入米を普及させるほうが、目先の国産米の値下がりだけでなく長きにわたる安定供給に繋がる可能性があるとの指摘もある。前出・大泉氏が言う。 「現状では稲作農家の8割を零細農家が占めており、それぞれの規模が小さい非効率なコメ作りになっている。輸入米が増えるなか、競争のために農地を大きくして生産性を上げ、コストを下げる農家が増えてきています。生産性の高い農業経営者が増えれば国産米の価格が下がる。コメが余ったら輸出に回し、有事には国内消費に回せる。こうした構造改革はすぐには達成できませんが、輸入米の増加が改革を進める契機となり得ることは確かだと考えます」 本当に必要な施策は何か。判断するために残された時間は少ない。 ■前編記事:《【トランプ輸入米】米国産コメ輸入拡大は「関税交渉カード」と「国内コメ不足解消」になる一石二鳥プランか それでも輸入米の拡大を阻止したい農水省の思惑》から読む
https://news.yahoo.co.jp/articles/2f4d32800cf4419b8e210fc6568a2f87f96776ff?page=1
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