- 2025-4-7
- イラっとするニュース, 政治
- コメの高止まり 政府一体で農政の見直しを
- コメントを書く

コメの価格が下がらない。 国はこれまで「投機的な売り惜しみ」が主因としてきたが、確認されなかった。当て推量の責任転嫁は、消費者や農家を混乱させ、対応の遅れを招いたと言わざるを得ない。 絶対量の不足ではないかとの現場の声を直視し、農政を抜本的に点検した上で、コメ作りを立て直すべき時である。
農林水産省は、生産者や流通業者、外食業者などが抱える2024年産米の在庫を試算して発表した。 そのうち中小流通事業者の在庫は前年並みで、農水省がこれまでコメ高騰の原因としてきた「売り惜しみ」という説明を撤回した。 全国農業協同組合連合会(JA全農)など集荷業者を通さず、生産者から卸売業者などに販売されたコメが1月末時点で、前年同時期と比べて44万トン増えた。
JA経由の流通は31万トン減った。在庫は農家、卸売業者や外食、消費者などそれぞれで積み上がり、計19万トン拡大した。 昨夏の品薄で不安が高まり、早期の直接買い付け競争が激化。在庫も分散して流通の目詰まりが起き、米価を引き上げた可能性が強まった。 農水省は「一部の卸売業者や農家が在庫を抱え込んでいる」と主張してきたが、自らの責任をそらす意図はなかっただろうか。
先月、政府は2回にわたり、著しい不作の時に限っていた備蓄米放出に踏み切った。合計21万トンだが、価格下落は5キロ当たりで数百円程度にとどまり、抑制効果は限定的となっている。 24年産米の収穫量は、前年より18万トン多い679万トンだった。近年は温暖化による高温障害で品質が下がり、出回らないコメも多い。生産や流通の現場から「政府が言うほど取れていない」との声も上がっている。 当初、農水省は流通状況すら十分につかんでおらず、現場との大きなずれを見せつけた。
農水省は、今後5年間の農政の方向性を決める「食料・農業・農村基本計画」で、食料安全保障の強化を目指して農業構造を転換させる方針をまとめた。 農産物の国内生産を増やすとともに、輸出の促進を図り、コメの国内生産量を818万トンまで拡大させるとした。品薄となった際に、国内に回す「調整弁」とする狙いもある。 しかし、コメ余りとして長きにわたり国策で生産を抑制してきたツケは重い。農家の意欲をそぎ、高齢化、担い手不足が進んでいる。計画は、絵に描いた餅になりかねない。
生産者のコストを吸収し、一定の利益を確保する持続可能な農業に向け、流通体制や適正な価格なども含め幅広く議論すべきだ。 農水省任せでなく、政府一体となった取り組みを求めたい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ff58397576fa4558298a0d983ed83c6b5415408d
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。